ビタミンPの働き

ピーマンには、ビタミンC が豊富に含まれています。ビタミンC は熱に弱い成分ですが、ピーマンは細胞組織がしっかりしているため、加熱しでもビタミンC の損失量が少ないのが特徴です。ビタミンC は、β?カロテンやビタミンEとともに活性酸素を撃退し、肝細胞が酸化して傷つくのを防ぎます。またピーマンには、ビタミンCが酸化されるのを防いで吸収を助けるビタミンP も含まれているため、ビタミンC が効率よく働くことができます。

ビタミンCが美肌作りにも役立つ

ビタミンC には抗酸化作用のほか、たんばく質の一種であるコラーゲンの生成を助けたり、しみやそばかすを防いだりする作用があります。また、緑色の色素であるクロロフィルも注目したい栄養素のひとつ。体内の有害物質の排泄を助けたり、コレステロール値をコントロールしたりする働きのほか、すぐれた抗酸化力でがんを予防する効果も期待されています。

このほか、血液をサラサラにして高血圧の予防に役立つピラジンや、便秘を予防・改善する食物繊維なども含まれています。帝油を使った調理がおすすめピーマンのビタミンC は加熱に強いので、妙めたり焼いたりしても損失量は少なめです。油を使った妙めものなどにすれば、脂溶性のβ?カロテンやビタミンE も効率よくとることができます。

ピーマンが苦手な場合、パプリカを食べましょう。

加熱に強いビタミンCがたっぷり

ビタミンCは熱に弱い成分ですが、じやがいも・さつまいもに含まれるビタミンC には、加熱しても壊れにくいという特徴があります。

芋類のビタミンCは熱に壊れにくく美容食として最高

ビタミンC には活性酸素の害から細胞を守る抗酸化作用があり、肝細胞の酸化を防いで肝臓を健康に保つのに役立っています。腸の働きを整える食物繊維も豊富。便秘を解消して有害物質の発生を抑え、肝臓に大きな負担がかかるのを防いでいます。

じゃがいもの栄養

じゃがいもに含まれるビタミンBlやナイアシンは、肝臓でエネルギーの代謝を行う際に欠かせない成分。ほかのいも類や穀類に比べて低エネルギーなので、肥満の予防・改善にも役立ちます。豊富に含まれるカリウムには、体内の余分なナトリウムを排泄して血圧を下げる働きがあり、食塩のとり過ぎによる高血圧の予防や改善にも有効です。

じゃがいも

さつまいもの栄養

さつまいもに含まれるビタミンEは、すぐれた抗酸化作用をもつ成分。体内で活性酸素を回収する働きがあり、ビタミンCと一緒にとることでより効果的に働きます。食物繊維も豊富で、肝機能を低下させる原因となる便秘の解消に効果を発揮。また、さつまいもを切ったときに出る白い汁・ヤラビンには便をゆるくする作用があります。食物繊維との相乗効果で便通を整え、肝機能の維持や大腸がんの予防などにも役立ちます。

さつまいも

肝臓に必要なビタミンがたっぷり

肝臓でエネルギーを代謝する際に必要な各種のビタミンを豊富に含んでおり、β?カロテンの含有量は野菜の中でトップクラスです。β?カロテンの特徴は、すぐれた抗酸化作用があること。ビタミンE 、ビタミンC とともに、健康な細胞を酸化して傷つける活性酸素の働きを抑えるのに役立ちます。

ビタミンCには、活性酸素を回収するビタミンEを助ける作用があり、一緒にとることで抗酸化作用がいっそう高まります。ビタミンB1やB2は、糖質や脂質の代謝に欠かせない成分。食品からとった栄養素をエネルギーにかえて体の各部に送り出す肝臓の仕事をサポートします。

このほか、肝臓に負担をかける便秘の予防・改善に役立つ食物繊維もたっぶり含まれています。

カルシウムなどのミネラルも豊富な優等生

刻んだときに出てくる粘りは、ムチンという成分。肝臓や腎臓の機能を高めるほか、胃の粘膜を保護したり細胞を活性化させたりする作用もあります。骨や歯を作るカルシウムや、体内の余分なナトリウムを排出して血圧を下げるカリウムも豊富。不足しがちなミネラルの補給源として役立ちます。

脂溶性ビタミンを上手に吸収

脂溶性のβ?カロテンやビタミンE を多く含んでいるので、抽を使った調理が適しています。水分や熱に弱いビタミンCを守るため、加熱は短時間で済ませましょう。

モロヘイヤの代表的レシピはこちら

β-カロテンの作用で肝臓を元気に

にんじんには、肝細胞の健康維持に欠かせないβ?カロテンがたっぷり。β?カロテンは体内で必要な量だけビタミンAにかわり、変換されずに残ったβ?カロテンは、細胞を傷つける活性酸素を撃退します。また、赤味が強い東洋種のにんじんには、リコピンという色素が含まれています。リコピンも、強い抗酸化作用をもつ成分のひとつです。

肝臓で有害物質を解毒する際、たくさんの活性酸素が発生するため、肝細胞はつねに活性酸素に攻撃されています。肝臓を健康に保つためには、活性酸素の働きを抑える成分を補給することが大切です。

便秘を解消して肝臓の負担を軽減

にんじんに含まれる食物繊維も、肝臓病の予防・改善に欠かせない成分。腸内に便がたまっているとアンモニアなどの有害物質が発生するため、肝臓で解毒処理を行わなければなりません。食物繊維は腸の働きを活発にして便秘を解消し、肝臓の負担を軽くするのに役立っています。このほか、体内の余分な塩分を排泄して血圧を下げる作用のあるカリウムも豊富に含まれています。

皮をむかずに使うのが理想

皮の近くが栄養豊富なので、できれば皮をむかずに調理を。にんじんには、ビタミンCを壊す酵素が含まれているので、すりおろしたりジュースにしたりする場合は、酵素の働きを阻害する酢やレモン汁を加えましょう。

余ったにんじんの活用方法はこちら。

抗酸化ビタミンが活性酸素をブロック

ブロッコリーには、さまざまなビタミンやミネラルがバランスよく含まれており、とくに高い抗酸化力をもつビタミンCの含有量が豊富です。

ビタミンC には、活性酸素を回収するビタミンE の働きをサポートする作用もあるため、ビタミンEとの相乗効果ですぐれた抗酸化作用を発揮。活性酸素によって、健康な肝細胞が傷つけられるのを防ぎます。また、アブラナ科の植物に含まれるスルフォラファンにも、活性酸素の働きを抑える作用があります。

美肌作りや免疫力アップ効果も

ビタミンC には抗酸化作用のほか、皮膚や粘膜を丈夫にしたり、しみ・そばかすを予防・改善したりする働きもあります。免疫力アップにも役立つので、かぜなどの感染症の予防にも欠かせません。また、β-カロテン、ビタミンC 、ビタミンE の抗酸化作用に、カロテンの一種・ルティンや、アブラナ科の植物に含まれるイソチオシアネート、インドール化合物などの働きも加わって、がんの予防・抑制にも高い効果を発揮します。

ブロッコリーに含まれるカロチン、ビタミンC 、ケルセチンがガンを抑制

電子レンジ加熱でビタミンCを守る

水溶性で熱にも弱いビタミンC は、ゆでると3分の1ほどに減ってしまいます。ビタミンCの損失を防ぐためには、ゆでるより電子レンジでの加熱がおすすめ。ゆでる場合は短時間でゆで、水にさらさず自然に冷まします。

ビタミンCを多く含む食品 | ビタミン Q & A

βカロテンによる抗酸化力特徴

かぼちゃには、β- カロテン、ビタミンC 、ビタミンEが多く含まれています。果肉の鮮やかな黄色は、β 1カロテンのもの。β-カロテンは、体内で必要な分だけビタミンA にかわりますが、ビタミンA に変換されなかったβ-カロテンは、ビタミンC 、ビタミンEとともに肝細胞を傷つける活性酸素と戦い、肝機能を正常に保つのに役立ちます。

また、肝機能が低下すると不足しやすいビタミンB1やB2も豊富。肝臓での脂質や糖質の代謝を助けるビタミンB群は、アルコールによる肝機能障害と関係が深い栄養素です。お酒が好きな人は、しっかり補給しましょう。

食物繊維で便秘を予防

かぼちゃには、腸の動きを活発にする食物繊維もたっぷり。便の量を増やして腸の動きを活発にし、肝臓に負担をかける便秘を解消します。食物繊厳には、腸内でコレステロール、中性脂肪、糖質などの吸収を妨げる作用もあるので、肥満や脂肪肝の予防・改善にも役立ちます。

油を使った調理で吸収力アップ

β-カロテンとビタミンE は、ともに脂溶性。吸収力を高めて抗酸化力をアップするためには、抽を使って調理するのが正解です。かぼちゃのビタミンC は熱に強いので、加熱調理しても大量に失われる心配はありません。皮と周縁部の栄養価が高いので、できれば皮つきのまま調理しましょう。

余ったカボチャを使い切る方法はこちら。

外食・コンビニ食の選び方

栄養バランスを考えて単品より定食を

外食のメニューは、一般的に高エネルギー。糖質や脂質が多く、ビタミンやミネラルが不足しがちです。肝臓病の予防・改善のためには栄養バランスのよい食事をとることが大切なので、多くの種類の食品が使われているメニューを選ぶのが基本です。

丼ものやめん類などの単品より、主食、主菜(たんばく質を含むおかず)、副菜(野菜や海藻類などのおかず) がそろう定食がおすすめです。

単品を選ぶ場合は、野菜を使った副菜を1品追加しましょう。

おにぎりとお総菜やサラダでバランスを

コンビニエンスストアなどのお弁当を選ぶときも、栄養バランスやエネルギー量に注意します。お弁当は、揚げものがメインのおかずになっていることが多いもの。摂取エネルギーを抑えるためには、おにぎりに、サラダや和風のお稔菜を組み合わせる方法がおすすめです。

外食メニューのエネルギー量と食塩量
メニュー名 エネルギー量(Kcal) 食塩量(g)
にぎりずし 650 5.8
天丼 750 3.0
牛丼 530 1.7
カツ丼 950 4.5
鰻丼 790 5.0
カレー 690 2.1
炒飯 780 4.7
あじの塩焼き定食 480 5.1
刺身定食 490 4.5
ロースかつ定食 1300 5.0
えびフライ定食 1300 5.0
ざるそば 280 2.6
きつねうどん 360 4.7
ラーメン 380 5.5
えびちりソース 560 8.1
麻婆豆腐 300 1.4
酢豚 570 3.5
ぎょうざ 290 0.8
ほうれん草ゴマ和え 72 0.9
野菜の煮物 118 2.1
トマトスパゲティ 530 2.3
和風スパゲティ 700 2.6
ハンバーガー 240 1.1

飲み過ぎはダメ!

アルコールは体に有害な物質。体内に入ると肝臓で解毒する必要があるため、肝臓に負担がかかります。また、中性脂肪の原料となる脂肪酸を肝臓に運ぶ性質があるため、脂肪肝の原因にもなります。脂肪肝についてはこちら

肝臓病の予防・改善のためには、お酒を飲まないのが理想。ただしアルコールには、血行促進やストレス解消など、プラスの作用もあります。また、飲みたい気持ちを我慢するストレスから体内で活性酸素が発生し、肝機能に悪影響を及ぼす可能性もあります。

飲み過ぎがよくないのはもちろんですが、医師に禁止されていないのであれば適量の飲酒は問題ありません。ただし、アルコール性肝炎や重症の肝機能障害を起こしている場合は禁酒する必要があります。

アルコール度数によって飲む量を調節

日本酒に換算して毎日3合のお酒を5年間飲み続けると、肝機能障害を起こす確率が高まるといわれています。お酒は、種類によってアルコールの含有量が異なります。禁酒が難しい場合は、下の表を参考にして飲み過ぎを避けましょう。また、空腹時にアルコールをとると肝臓の負担が大きくなるため、お酒は食べながら飲むのが基本。肝臓の機能維持のためには、たんばく質やビタミンが豊富なおつまみと組み合わせるのが理想です。ただし、揚げものなどは避けること。アルコール自体が高エネルギーなので、高エネルギーのおつまみと組み合わせると肥満や脂肪肝のもとになります。

アルコール飲料の1日の目安量

目安量 アルコール含有量(g) エネルギー(kcal)
ビール 500ml 20 200
清酒 180ml 22 185
焼酎 2分の1号弱 20 144
ウィスキー・ブランデー 60ml 20 142
ワイン 200ml 24 146

過剰な鉄は肝臓に悪影響を及ぼす

鉄の役割は、赤血球のヘモグロビンの成分となって、体の各部に酸素を運ぶこと。不足すると体が酸欠状態になり、鉄欠乏性貧血を起こします。体内の鉄の約70 %は血液に溶け込んで働いていますが、残り30%は肝臓などに貯蔵されています。

鉄不足の治療

鉄は不足しがちなミネラルで、とくに月経で定期的に鉄分を失ってしまう女性には、鉄不足が原因の貧血も多く見られます。ただし、多くとり過ぎると肝機能に悪影響を及ぼすので要注意です。

肝臓内の鉄は活性酸素を発する

鉄には、細胞の中にある酸素や過酸化水素に触れると活性酸素を発生させる性質があります。肝臓で活性酸素が発生すると、健康な肝細胞が傷つけられ、肝機能が低下します。また、肝細胞が壊されると貯蔵していた鉄が放出されるため、さらに活性酸素の発生量が増えて肝細胞にダメージを与える、という悪循環に陥ってしまいます。そのため、肝臓の健康が気になる人は日頃から摂取量に注意する必要があります。

基本は、鉄を多く含む食品を食べ過ぎないようにすること。調理の際、鉄製の鍋やフライパンを使うのも避けましょう。また、ビタミン剤などのサプリメントや健康食品には鉄分が多く含まれているものがあるので、成分を確認してから使うようにします。また体内で発生した活性酸素の働きを抑えるため、ビタミンA、C、Eなどの抗酸化ビタミンを多く含む食品をしっかりとるようにすることも有効です。

鉄分を多く含む食品と含有量

  • 牛レバー 4.0mg
  • 豚レバー 13.0mg
  • とりレバー 9.0mg
  • あさり(生) 3.8mg
  • しじみ(生)5.3mg
  • 赤貝(生)5.0mg
  • うなぎの肝 4.6mg

賢く摂りたい栄養素「脂肪」

過剰な脂賞は肥満・脂肪肝の原因に

エネルギー源となる脂質は体に欠かせない栄養素。たんばく質や糖質を効率よく代謝したり、ビタミンA、D、Eといった脂溶性ビタミンを吸収したりするためにも、適量の脂質をとる必要があります。ただし、脂質のエネルギーは、たんばく質や糖質の2倍以上。たくさんとり過ぎるとエネルギーとして使い切れず、余った脂質が皮下や内臓の周りにある脂肪組織に貯えられてしまいます。体内に貯蔵された脂肪は、体がエネルギー不足になったときに使われます。でもエネルギーが不足することがないと、そのまま蓄積され、肥満や脂肪肝のもとになります。

食品に含まれる脂質にも注意

脂質をとり過ぎないようにするためには、調理に使う抽だけでなく、食品に含まれる脂質にも気をつけなければなりません。

たとえば肉類は、たんぱく質としては優秀ですが、部位によってはかなりの量の脂質も含まれています。肉類に含まれる脂質は「飽和脂肪酸」と呼ばれ、コレステロール値を上げる作用があります。

肝臓病の予防・改善のためには、牛肉・豚肉なら赤身を、とり肉ならささ身や胸肉を選ぶのが正解。脂身が多い肉を使う場合は、蒸す、ゆでる、網焼きなど、できるだけ抽を使わない調理法を工夫しましょう。

肝臓の健康が気になる場合、脂質はコレステロール値を下げる働きのある「不飽和脂肪酸」を中心に、適量をとるのが理想です。不飽和脂肪酸を多く含むものには、オリーブ抽、ごま抽、サラダ油といった植物性の抽のほか、青背の魚などに豊富なIPAやDHAなどがあります。オリーブ油は便秘予防にも効果的です。

IPAやDHAには、肝臓で合成される中性脂肪を減らす働きもあります。また食用油の中には、「体脂肪がつきにくい」などの効果を認められ、「特定保健用食品」の指定を受けているものも。こうした抽を毎日の食事作りにとり入れるのもよい方法です。また、脂質は古くなると酸化し、体に有害な過酸化脂質が発生してしまいます。脂質を多く含む魚は新鮮なものを選び、食用油も早めに使い切りましょう。

肝臓強化のポイントも参考になります。