肝臓の働きその6「胆汁の分泌」

脂質などの消化・吸収を助ける

胆汁は、脂質や脂溶性ビタミンの吸収に欠かせない消化液です。肝臓は、体にとって不要なものを材料にして胆汁を作っています。胆汁には水分のほか、胆汁酸、どリルビン、リン脂質などが含まれています。肝臓で作られた胆汁は、いったん胆のうで貯蔵されます。

そして濃縮した形で十二指腸に放出され、脂質などの消化・吸収を手助けします。胆のうから放出された胆汁の約90% は小腸で再吸収され、肝臓へ戻ります。再吸収されなかった分は、便として排泄されます。

体内の不要物を排泄する

胆汁には、体内の不要なものを排泄する役割もあります。たとえば、胆汁に含まれるどリルビンは、古くなった赤血球が分解されるときに発生する黄色い色素。体に有害な物質ですが、水に溶けにくいのでそのままでは排泄することができません。そのため、肝臓ではどリルビンを別の物質で包み、水に溶けやすい「抱合型ビリルビン」という形にして胆汁の中に放出します。

抱合型ビリルビンは胆汁の成分となって十二指腸に分泌され、便として排泄されます。また、胆汁の主成分のひとつである胆汁酸は、コレステロールから作られます。血液に含まれるコレステロールの量が多くなり過ぎると、肝臓がコレステロールを分解して胆汁酸を作り、胆汁の中に排泄することで血液中の濃度を調節します。血液中のホルモン濃度の調節も同様に行われており、胆汁の中には肝臓で不活性化された不要なホルモンも含まれています。

胆汁の分泌・排泄の異常による不調

肝臓の機能が低下すると、胆汁の分泌や 排泄をスムーズに行うことができなくなり ます。そのため、脂質の消化吸収が妨げら れて下痢をしやすくなったり、体内のコレ ステロールが過剰になって胆石(胆汁の流 れ道である胆道にできる結石) ができやす くなったりします。また、胆汁の排泄が滞 ると血液中のどリルビンが増加し、皮膚や おうだん 白日の部分が黄色っぼくなる「黄痘」の症 状が現れます。

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