肝臓の働きその4「ビタミン、ミネラル、ホルモンの代謝」

ビタミン・ミネラルの代謝を行う

肝臓は、たんばく質・脂質・炭水化物の三大栄養素のほか、ビタミンやミネラルの代謝にも関わっています。ビタミンやミネラルは、三大栄養素のようにエネルギー源となる成分ではありません。でも、体内でほかの栄養素の代謝を助ける作用があるため、人間の体に欠かせないものなのです。肝臓の役割のひとつが、ビタミンの一時的な貯蔵です。たんばく質・脂質・炭水化物などの代謝にはビタミンが必要なため、肝臓には、ビタミンA、D、Eが豊富に貯えられています。

ただし食品からとったビタミンは、そのままでは体内で活用することができません。そのため、必要に応じて肝臓で分解・合成されて体内で働きやすい形に作りかえられてから、体の各部へ送り出されていきます。このほか、肝臓ではカルシウム、マグネシウム、鉄といった主要なミネラルの合成も行っています。また、亜鉛や銅など体内に微量に存在するミネラルの代謝も肝臓の仕事です。

ホルモンの濃度を調整

ホルモンとは、体内の特定の器官で合成・分泌され、血液を介して別の器官で効果を発揮する物質のこと。副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、下垂体ホルモンなど、人の体内には70種類以上のホルモンが存在するといわれています。ホルモンは体の機能の維持に欠かせないものですが、分泌される量が多過ぎても体に悪影響を及ぼします。

ホルモンを正常に働かせるためには、血液中のホルモンの濃度を適切に保つ必要があります。肝臓の役割は、さまざまなホルモンの血中濃度をコントロールすること。血液中のホルモン濃度が高くなり過ぎると、肝臓では不要なホルモンを分解して不活性化し、胆汁の中に排泄することで濃度の調節を行います。

肝臓の働きが悪くなると、こうしたホルモンの代謝がスムーズに行われなくなるため、手のひらや胸に赤い斑点ができる「クモ状血管腫」や、男性の胸が女性のようにふくらむ「女性化乳房」などの症状が現れます。

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