肝臓の働きその5「有害物質の解毒」

体外からとり入れる有害物賞の解毒

食品には、化学物質やアルコールなど、体にとって有害なものが含まれていることがあります。体内に入った有害物質は、栄養素と一緒に小腸から吸収され、肝臓へ送られます。肝臓では、有害物質を無害なものに作りかえ、体の外へ排泄しています。

体の外からとり入れる有害物質の代表がアルコールです。肝臓に送り込まれたアルコールは、アルコール脱水素酵素(ADH)などの働きでアセトアルデヒドという物質になります。アセトアルデヒドは毒性が強く、お酒を飲んだとき顔が赤くなったり、気分が悪くなったりする原因となる物質。

そのため、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH) によって無害な酢酸に作りかえてから血液中に送り出されます。酢酸は最終的に炭酸ガスと水になり、呼吸や尿として排泄されます。

ただし、一度に解毒できるアルコールの量には限界があります。そのため、処理しきれなかったアルコールやアセトアルデヒドはそのまま血液中に入って体内を巡り、次に肝臓に戻ってきた際に解毒の処理が行われます。このため、肝臓の解毒作用が追いつかないほど大量のお酒を飲むと、酔いがさめるのに時間がかかったり、二日酔いに悩まされたりすることがあります。お酒に弱い人と強い人がいるのは、アルコールの解毒に関わるアセトアルデヒド脱水素酵素の働き方などに違いがあるため。酵素の活性が高い人ほど、短時間でアセトアルデヒドを分解することができ、お酒に強いということになります。

ゆっくり適量飲むことが百薬の長にする

体内で発生する有害物質の解毒

有害物質には、外からとり入れるもののほか、体内で作られるものもあります。代表的なもののひとつがアンモニア。小腸でたんばく質がアミノ酸に分解される際に発生します。肝臓ではアンモニアを無害な尿素にかえ、血液中に送り出します。血液中の尿素は、腎臓から尿として排泄されます。肝臓の機能が衰えてアンモニアの解毒ができなくなると、有害なアンモニアが血液を介して脳に達し、「肝性脳症」と呼ばれる意識障害を起こすことがあります。

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