インスリンの働き不足、分泌不足にはサバとイワシがおすすめ

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魚を食べる食習慣が多い人は糖尿病にはなりにくい

魚を多く食べるほど、糖尿病になる危険性が減る。これは、国立がん研究センターや国立国際医療研究センターなどが行った「多目的コホート研究(JPHC研究)」での調査で明らかになった事実です。

魚をよく食べる人(調査では男性の場合)は、あまり食べない人に比べて糖尿病発症の危険性が3割も低く、それもサバやイワシ、サンマ、アジなど脂の豊富な背背の魚を多くとっている人ほど、危険性が少なくなっていました。

その理由として考えられるのは、魚油に含まれるEPA やDHA といった脂肪酸の作用です。というのも、これらの脂肪酸には、すい臓から就離され血糖を調節するホルモンであるインスリンの分泌量を増やしたり、インスリンの働きをよくしたりする作用のあることがわかっているからです。

脂肪酸にはいくつかの種類がありますが、一般に、健康にいいといわれているのは不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸は魚や植物油に多く含まれ、構造や性質の違いにより、n・6系脂肪酸とn・3系脂肪酸に大別できます。このうち、n・6系脂肪酸の代表は、大豆油やマーガリンなどに含まれるリノール酸です。

一方、n・3系脂肪酸には、α?リノレン酸のほか、魚油のEPAやDHAが含Hまれています。以前は、コレステロールなどを下げるには、n・6系脂肪酸であるリノール酸を多くとるようにすすめられてきました。ところが、過剰摂取するとさまざまな弊害が起こることがわかり、現在では、n・3系脂肪酸を多くとるほうが重要であるという考え方に変わってきました。

血管の若返りにDHAたっぷりのマンボウの肝油」

n・3系脂肪酸であるEPA やDHAは、コレステロールや中性脂肪を減らして、血栓(血液の塊)を防いだり赤血球を柔軟に保ったりして、血液の流れをよくすることがわかっています。それに加えて、最近では、高血糖や糖尿病を改善する働きも注目されています。

魚脂はインスリンの分泌量も働きも高める

特にEPA には、インクレ チンというホルモンの分泌を 強く促す働きがあると報告さ れています。インクレ チン は、血糖値が高い状態になる と、腸管から分 泌されます。そして、すい臓 を刺激してインスリンの量を 増やします。 インクレチンには、GLP-1とGLPという2種類が知られており、このうち、EPAを摂取することで分泌さ れるのがGLP-1で、イン スリンの分泌量を増やして血 糖値を正常にする働きがあり ます。

また、DHA がインスリン の働きを活発にさせることも 動物実験で明らかになってい ます。ある大学の研究では、 糖尿病のラットにDHAを注 射すると、血糖値が下がるこ とを確認。DHAの投与でイ ンスリンの働きがよくなり、 血中の糖が細胞の中に入りや すくなったと考えられる、と 報告しています。

さらに、E PAやDHA は、糖尿病の合併症予防の面 でも期待が高まっています。 例えば、初期の糖尿病性腎 症の方に毎日1.8mgのEPAを半年とってもら ったところ、全員の尿アルブ ミン値(糖尿病性腎症の診断 に用いる指標) が低下してい たという報告があります。

ア ルブミン量が抑えられたとい うことは、糖尿病性腎症の予 防にも役立つと考えられるでしょう。 また、糖尿病性腎症と糖尿 病性神経症のラットにDHA を与えたところ、ラードやオ リーブ油、サフラワー油と比 べて、腎症の初期症状や神経 障害が明らかに抑えられてい たこともわかっています。

なお、EPAやDHAは、 サバやイワシに多く含まれて います。サバ は特にノルウェー近海でとれます。 こうした魚を食べるさいは、 脂が落ちてしまう焼き料理で はなく、例えばサバ煮にする など、脂もいっしょにとれる 煮物や刺し身をおすすめしま す。

厚生労働省の『日本人の食 事摂取基準』によれ ば、1日にとるべき魚油の量 は、EPAとDHAを合わせ て1グラムが理想とされていま す。サバ( ノルウェー産)や イワシなら100g食べれば 十分に補うことができるの で、1日に1食は、こうした 背背の魚をとるようにすると いいでしょう。