診察を受けているとき、お医者さんに背中をノックされたことがある人は多いはずです。トントン、トントン... ... 。いったい何が、どうわかるというのか、ちょっと素人には想像つきません。
「心配ないですね。ただの風邪です」こうやってお医者さんが背中をたたくのは、実は肺の音を聞こくため。です。
健康な肺はボンボンと軽く澄んだ音がします。鼓音、つまり空気の振動で響く太鼓のような音です。
ところが、なんらかの病気で肺に水がたまっていたりすると濁音といって音も濁ります。お医者さんは濁った音と澄んだ音の境界線までたたいてみて、肺にたまった水、つまり胸水の量を測定しているのです。
今度背中をたたかれたらチェックしてみるといい。下から上へ徐々にノックする位置を移動させていたら「どれどれ、どこまで水がたまってるのか、調べてみよう」というわけです。
また、前を向いて胸の真ん中あたりをたたくのは、心臓の大きさを調べるためです。心臓と肺の境界を計り、心臓が肥大していないか、肺を圧迫していないかを知る手がかりになります。こうした手がかりから、必要に応じてさらに詳しいレントゲン検査などへと進むわけだ。この昔ながらの打診法、医者と患者が触れ合う、まさに安全無害で大切な診察法です。カルテだけ見ていても大事なことはわかりません。
コメント