胃潰瘍の診断の裏

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かつては胃ガンの人に「胃潰瘍です」というとたいていの人は信じたものです。しかし、ほとんどの胃潰瘍が内科で治療できることが知られてきた現在では、「胃潰瘍ですから手術しましょう」というと即座に「ガンじやないか」と疑う人が多くなりました。

ところが現在でも、お医者さんは患者さんに、胃ガンを「胃潰瘍です」ということがあるのも事実です。

「胃潰瘍です」の言葉のウラには、たしかに「ガン」の2文字があり得るのです。しかも、最近は早期ガンなら告知するのがふつうだから、「はっきりガンといえないくらい進んでるガン」ということもあるわけです。

しかし、決めつけるのはまだ早い。胃潰瘍でも胃に穴が開いたり、吐血するほど多量の出血がある場合には手術することもあります。だから、お医者さんが「胃の潰瘍が進んでだいぶ出血していますから、手術した方がいいでしょう」という場合の「胃潰瘍」は、まったく言葉どおりに解釈していいときもあります。

やっかいなことに、このふたとおりの「胃潰瘍です」、表面に出る症状はほとんど同じなだけに、患者には判断が難しいのです。

最近は「胃潰瘍なら手術しなくてもいいだろう」と詰め寄る患者も多いため、もしガンなら、病名はいわなくとも「大きな穴ですよオ、どんどん出血してますよ」と、できるだけ事態を重く表現し、真意をくみ取ってもらう、という場合もあるのです。

誠にあいまいなニッポンの医者と患者の構図です。こういうときは、下手に深読みするよりも、いっそのこと素直にお医者さんに自分の不安をぶつけてみる方が近道です。

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